2019年1月号

いつも温かいご支援をいただき心から感謝申し上げます。
本年も宜しくお願い致します。

コタン校では、2週間の冬休みが終わり、3学期のテストがスタートしました!


<コタン校近況報告>
①トレーニング
幼稚園の先生2名が冬休みを利用して、首都カトマンドゥにある幼児教育のトレーニング学校(ECEC)のクラスを受講しました。

受講生は全員幼稚園の先生方で、教育指導のさらなるレベルアップを目的にトレーニングに励んでいます。

1週間の短い期間ですが、学んだことを夢学校の子供たちに実践してくれると嬉しいですね!


<モラン校近況報告>
①短期インターン生のご紹介
ナマステ!! 2019年2月より約2ヶ月間、YouMe Nepalのモラン校にて、学生インターンとして活動させていただく、熊谷修平(くまがい しゅうへい)と申します。
私は、大学で英語教育を専攻しており、将来は高等学校の英語教師になることを考えています。
昨年の米国交換留学の際、大学で唯一のネパール人学生との出会いをきっかけに、ネパールに興味を持ちました。
また、インターン先を探す過程で大学の先輩にYouMe Nepalを紹介していただき、そこでインターンをしている秋田康平さんとの出会いも大きな契機になりました。
実は彼とは、私の友人を通して2年前、まだお互いに知らない時にお会いしていたことが判明し、どこか運命的なものを感じました。
そして、東京で行われた代表ライさんの熱いスピーチをお聞きし、その後事務局の苅部さんと元インターン生の方々とお会いした際に感じた暖かい雰囲気に心惹かれ、そこで真剣にインターンをお願いしました。

私にとっての教育の哲学は「モチベーション」です。
教師や学校の役割は、児童・生徒に知識・技能の伝達をし、テストや一流の学校へ合格させることだけに留まりません。
将来に希望を持たせてあげること、将来こんな大人になりたいというモチベーションを育んであげることも、教師や学校の重要な役割だと考えています。
なぜなら、高いモチベーションや将来への希望を持った児童・生徒は、主体的に学び始めるからです。
ネパールでは主要教科の授業が多く、情操教育を図れる教科が少ないと聞いています。
そこで体育、生活科、道徳などの教科を導入し、学びを実生活や将来と結びつけることや、友人と協働しあう活動を行い、日本の教育の強みである「全人的な学び」を促進していきたいと考えています。
それにより育まれる児童・生徒の豊かな人間性は、彼らをよりよい道へ導いてくれることを約束します。

本日から活動が始まりました!最後の最後まで現地の先生方と活動内容について吟味し、万全の状態でインターンに臨みたいと考えています。
児童・生徒、先生方、学校のために尽力したいと思っております。
尊敬する秋田康平さんから言われたように、周りの方々との関わりを大事にし、積極的に交流していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。


<オンライン授業近況報告>
①秋田さんレポート
ナマステ! コタン校インターンの秋田です。 ネパールでは寒さのピークも過ぎ、春の訪れを感じるようになってきました。
今月は、12月終わりから1月中旬までYouMe Schoolは冬休みで、その後は、現在YouMe Nepalがコタン郡の隣のリムチュンブング市にてオンライン教育プロジェクトを進める公立学校4校を回ってきましたので、今回は、オンライン教育プロジェクトについて書きます。
YouMe Nepalがオンライン教育プロジェクトを進める公立学校は、コタン郡の隣、ウダヤプール郡のリムチュンブング市という場所にあります。
リムチュンブング市からはスンコシ川を挟んで、YouMe Schoolがある村一帯、そしてヒマラヤ山脈を眺めることができます。

(リムチュンブン市から見たコタン校の位置)

リムチュンブング市のインフラ整備は、コタン郡とほとんど変わりはなく、電気は全てソーラー発電、生活に使う水もコタン郡と同様十分には無いという状況です。
そのリムチュンブング市に1月下旬に訪問し、約1週間かけて政府が建てた公立学校4校を回ってきました。
各学校には、YouMe Nepalから1ヶ月前に派遣された現地コーディネーターの方々がおり、プロジェクトスタートに向けて学校の状況の調査、先生や生徒からのヒヤリングを行なっていました。
本プロジェクトは始まったばかりで、まだSEE試験に向けての実際にオンラインを用いた授業はまだ行われていませんが、数週間後のスタートに向け着々と準備が進みつつあります。
また、開催まであと2ヶ月に迫るSEE試験ですが、今年度はこれまでとは様子が違います。今年度から新たに、先生とSEEに挑む生徒達が学校に泊まり込み勉強に励むSEEの対策合宿を行い、今までにない熱意を持って合格に向けて取り組んでいます。
そこには、自治体と学校がこれまで悩み続けた「ほとんどの全ての生徒がSEE試験に合格できない現実」をYouMe Nepalと共に取り組む教育改革の熱を持って、「今年こそ変えてやる」いう強い決意を感じます。

4校とも学校を合宿所にし、今年度のSEE試験を控えた10年生(日本の高校1年生にあたる学年)が学校に住み込み、早朝5時に起き夜10時まで勉強に励んでいました。
先生たちも朝早くから出勤し、数名の先生は、ご飯を作ったり、朝夜の授業をしたりと、SEE試験に向けて学校が一体となって取り組んでいる様子を見ることができました。
<ある1校の1日のスケジュール>
5:00 起床
5:00〜5:30 授業準備
5:30〜7:00 授業
7:00〜7:30 学校の清掃
7:30〜9:00 授業
9:00〜10:00 朝食・学校の準備
10:00〜4:00 通常の学校の授業
4:00〜5:00 おやつ、自由時間(バレーボールなど)
5:00〜7:00 授業
7:00〜8:00夕食
8:00〜9:30授業+自習
9:30〜10:00就寝準備
10:00 就寝

通常の授業時間以外にも6時間半勉強しています。 リムチュンブング市だけではなく農村部の生徒たちにとって「数学」「理科」「英語」の3科目は特に課題で、朝や夜の授業ではこの3科目に焦点を当てています。
学校によっては、習熟度別にグループを分け、授業をしているところもありました。
また、この学校に住み込み勉強するスタイルでは、下の写真のように生徒から学校・先生に対して意見するシステムがとられています。
月1回、生徒がこのスタイルに対して感じたことを正直に先生に伝えます。

生徒から先生へ意見されていたことをいくつか日本語にしてお伝えします。

・起床時間を5時から4時に変えて、その時間も勉強したい。
・英語、数学、理科にもっと時間を割いてほしい。
・グループAの生徒を少し贔屓しすぎではないのか?(グループCの生徒からの意見)
・就寝前のお湯を飲む時間をなくして、そこも勉強時間にしてほしい。
・◯◯先生は、授業時間に遅れがちだからきちんと時間通り授業に来てほしい。 ということなどが書かれています。

そして、その生徒からの意見を受けて先生たちは改善に向けてミーティングをします。
私が滞在した日も、たまたまそのミーティングが行われていて、生徒が眠りついた後も夜11時半まで話し合っておられました。
生徒から先生に対する厳しい意見もありましたが、真摯に受け止めて話し合っておられます。
ネパールの農村部の学校では、わからない問題を聞くと怒られる、棒などで先生が叩くことが頻繁にあるようですが、この学校のように、先生が権力を振りかざすわけではなく、先生と生徒がなんでも言えるような関係性があることがSEE合格に近づく一歩だなと感じ、とても素敵なシステムだと思いました。

生徒たちは、朝早くから夜遅くまで必死に勉強しており、SEE試験に対して「合格したい」と思って熱心に勉強する生徒がいる反面、中にはあまりやる気を見出せない生徒もいるようです。
学校に住み勉強するスタイルを4校とも採用していましたが、やる気がないから住まない、住んでいてもやる気がない生徒も複数いるという問題があると先生たちは指摘していました。

しかし、そのようなやる気を見出せない生徒たちがいるのは自然なことだと思います。
4校の中には、昨年まで数学、英語、理科の先生がいなかったところもあります。
それでどうやってSEE試験に向けて勉強するモチベーションをあげればいいのでしょうか。
また、わからない問題を聞くと「なんでわからないんだ!」と怒られることもあると聞いたことがあります。
私が話したある生徒は「先生がベストを尽くせば生徒もやる気があがるようになる」と言っていました。
しかし、その生徒は、先生の問題点も指摘すると同時に、自分たち生徒自身にも問題があると言っていました。
せっかく学校に泊まって勉強するシステムを採用しているのに、寝ている生徒もいるなど勉強に対する意識の低さも問題だと言っていました。
やる気のない生徒はネパールだけではなく、どこにもいます。日本だってそうです。
リムチュンブング市は今まで、ほとんどの子が試験に失敗してきた地域ですから、合格することの重要さがいまいちわからない子やどうせ無理って思う子もいるのではないかと思います。
合格した先にどんな素晴らしい世界があるのか、私たちのオンラインプロジェクトがただ技術的、一過的な成果に留まらない為に、この点を学校の先生たちと共に目線を合わせ、生徒達へとしっかり伝えていきたいと思います。
この1週間で、オンライン教育プロジェクトを行う公立学校4校を回り、先生や生徒と話す中で、本プロジェクトが
・やる気はあり勉強も熱心に取り組んでいるが合格点に届かない生徒たちを合格に導くことはもちろん、
・今やる気を見出せない子たちが頑張れるようなきっかけになると、私は感じました。

SEE試験まで約2ヶ月となりました。
私たちYouMe Nepalは、学校とその先生たち、地域の沢山の応援者達と手を取り合い、リムチュンブング市のから1人でも多くSEEに合格してもらうよう、一丸となって取り組んでいます。
そして今誰よりも頑張っているのは、試験を受ける生徒たち1人ひとりです。
朝早くから夜遅くまで必死に頑張っているのをこの目で見ています。
その頑張りに応える為、私たちは決して立ち止まる事なく、やるべき事を日々やりきって前に進みます。
皆さまもどうか引き続き、応援をよろしくお願い致します。


今月のご報告は以上になります。
お読みいただき、ありがとうございました。