日頃よりご支援を賜り誠にありがとうございます。
はじめにネパールの現状についてお伝えします。
先月下旬から実施していた再封鎖は9月10日に解除されました。ホテルやレストラン、その他のビジネスやオフィスワークの再開が始まりましたが、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、依然として娯楽施設や宗教施設、教育機関は再開の目途が立っておりません。また、毎日交互に車両のナンバープレートの末尾数字の偶数奇数で通行できるなどの行動規制を実施しています。
<コタン校近況報告>
【代替手段による教育と学習の促進】
今年の3月からネパール全土の学校が休校している状態が続き、ネパール政府からの学校再開などの教育指針の発表がありませんでしたが、先日遂に文部科学省は、オンラインなどの放送媒体を通じて行う学習方法を正式な教育システムとして導入することに同意しました。これらの方法をどのように評価、監視、統合するかについて、一連のガイドラインが導入されました。すべての学校は、地方自治体と緊密に連携して取り組む必要があります。
この決定により、コタン校は、この新しい教育指針および学校運営に伴う課題に取り組むために行動に移しました。
私たちの先生は、来年3月までの指導カリキュラムの計画、活動、評価基準、および今年度を成功させるために今後7か月以内に達成される目標に向けて既に取り組んでいます。
学校のあるコタン地域では、テレビ、FMラジオ、オンラインでの授業を子供たちの各家庭に向けて発信できる可能性はほとんどありません。インターネット、ラジオ、テレビにアクセスできない家庭もたくさんあり、また電力不足の問題も大きな障壁です。
この地域の状況を鑑みると最も適切な手段は、電話通信を介して子供たちに授業を提供することだと考えられます。それと並行して、週に1日学校で授業ができるかなど、どのように学校を再開するか、どのように子供たちに教育を提供するかに関して、現在自治体や保護者と協議中です。私たちは、この状況化でも子供たちが適切に教育を受けられるように、あらゆる側面を綿密に検討し、前に進んでいます
【トウモロコシの収穫】
公益財団法人味の素ファンデーション様と協同で実施している給食プロジェクトの一環で始めた農園は、今年で4年目を迎えました。コタン校が農園を始めた理由は、子供たちに農業とその生態系に関する知識を強化してもらうこと。また、子供たちが主体的になり、試み、学び、観察し、失敗し、成功する体験ができ、深い学びへと繋がる独自の空間を持たせたいと考えてスタートしました。
6月号でお伝えしたとおり、今年は学校が休校のため、子供たちで畑を耕して育てることが出来ませんでしたが、先生たちが耕し育ててくれたおかげで、今年も無事にトウモロコシを収穫することが出来ました。
来年は子供たちと一緒に作物を育てることができますように!
【生徒の紹介】
今月号は、コタン校の生徒が学校が再開されない期間に、家でどのように過ごしているかを紹介します。
小学校3年生のミヨマ・ライちゃんにインタビューしました。
新型コロナウイルスについて何か知っていますか?
はい、私の母が感染症である新型コロナウイルスについて話してくれました。病気にならないように、マスクを着用し、石鹸で手をこまめに洗い、毎日清潔に保つように気を付けています。
ロックダウンの間、どのように毎日を過ごしていますか?
現時点では、新型コロナウイルスのために学校が閉鎖されているため、先生から電話で宿題が出され、ほとんど毎日、宿題や勉強に忙しくしています。また、時間があるときは物語の本を読んで過ごしています。
学校や友達が恋しいですか?
はい、もちろん、友達や先生と会えなくて寂しいです。教室で勉強したり、友達と遊んだりするのが恋しいです。しかし、新型コロナウィルスの拡大が落ち着けば、友達に会い、好きな場所に自由に行くことができるようになると信じています。
好きなことは何ですか?
私は歌ったり踊ったりするのが大好きで、それをするといつも幸せでエネルギッシュです。
<ビラトナガル校近況報告>
【先生紹介】
今月号は、ビラトナガル校の副校長ダルシャン(Darshan)先生にインタビューしました。これまでの彼の教育の旅のストーリーと経験をみなさんに共有します。
ナマステ、私の名前はダルシャンです。年齢は28歳です。私は、ここビラトナガルで生まれ育ちました。現在、私はビラトナガル校の副校長を務めております。私は、数学の先生で教育分野で7年間の経験があります。算数と問題解決のスキルを生徒に与えることは、私の多くある仕事の1つです。
休校が続く状況の中で、子供たちにオンライン授業を適応させることについての感想を聞かせてください。
新型コロナウィルスの感染拡大防止のために学校が休校になったことは、ネパールの教育システムを再定義する機会を提供したと考えています。 私は、一般的なマルチメディアのスキルが得意なので、何をすべきかについて明確な指示を受けることができてとても助かりました。子供たちに、オンライン授業を実施することは、私が想像していたよりもはるかに良かったです。
オンラインで教えるのは初めてだったので、初日と二日目は少し戸惑いましたが、数日が経過した後、私はより快適になり、興味深い方法で授業を構成することができました。同時にオンラインへの切り替えにより、生産性が大幅に向上したと思います。
停電やインターネットの遅延の問題が発生することもありましたが、オンライン授業を開始した日から1度も授業を中止することはありませんでした。
ボディーランゲージの助けを借りずに言葉だけでコミュニケーションをとることは、生徒との関係が離れる要因につながると思います。ですので、生徒全員が楽しくオンライン授業に参加してくれるように毎回授業計画を念入りに準備してオンラインクラスを生き生きとさせるように努力しています。
子供たちはこの新しい学習方法にどのように適応したと思いますか?
オンラインクラスの最初の数週間、生徒と保護者は混乱しているように感じました。
保護者方は、子供がこのような方法でいつまで勉強しなければならないのか不安で戸惑っており、同様に私の生徒も混乱してました。
しかし、責任ある教師として、私たちが今しているオンライン授業は全ての生徒の安全を考慮した措置であることを何度も説明しました。説明することにより、生徒と保護者は私たちを理解し、協力してくれるようになりました。
その後、生徒たちもオンライン授業を快適に感じてくれるようになりました。
授業を開始する時は、まず最初に私は全ての生徒を温かく歓迎し、前日に出した宿題に答え、その後、生徒の家庭での過ごし方について、クラスメート間でお互い話し合うための時間を作っています。そして毎週1回、復習のためのテストを実施しています。
学校での取り組みがこの地域に変化もたらすことができると思いますか?
ビラトナガル校は、市街地から少し離れたところにあります。ほとんどの生徒の家庭は農業で生計を立てています。
学校は主にITと英語に焦点を当てています。生徒と教師はパソコンを活用した授業を取り入れています。また、基本的な科目に加えて、芸術とスポーツ、音楽とダンスも生徒の可能性を高めるための大事な要素であると考えています。その他にもリーダーシップを養うトレーニングを実施するなど、テストの成績以外のことも重要視しています。
このような教育を取り入れることで、生徒が大人に成長した時には、この地域、この国の発展に素晴らしい変化をもたらすだろうと信じています。
【ビシュワカルマプジャ】
ヒンドゥー教の神話によると、ビシュワカルマは神々に多くの武器を創造したと知られており、現代では、職人や建築、機械の神様として崇められています。
ネパール暦のアシュウィン月の1日(毎年9月中旬頃)ビシュワカルマを祝うお祭が開催されます。
この日は、すべての機械製品、電子機器、車両などをプジャ(お祈り)します。
ビラトナガル校の先生方は、学校で使用するパソコンやスクールバスが故障しないように、また安全祈願のためプジャを行いました。
【家での過ごし方】
学校の休校が続く中で、子供たちが家でどのように過ごしているか少し紹介いたします。
小学校1年生のアユナ・ライちゃんは、裁縫に興味を持ち、自分用の小さなお財布を手縫いで作りました。勉強の時間以外の自由な時間を利用して何度も練習して針を器用に操ります。
小学校3年生のアルシャ・タパちゃんは、お花や植物をお世話することに興味を持ち、毎日自分で水をやり、きれいに掃除をして大事に植物を育てています。
<日本の近況報告>
【中学校でのライの講演】
代表ライ・シャラドの母校(アジア太平洋立命館大学)のご紹介で、広島県立広島叡智学園中学校の1年生の授業で「NPOから見たGlobal Issue」という議題でオンラインによる講演を実施しました。
団体の活動やネパールの教育問題などについて講演をし、また生徒さんたちは、事前にYouMe Nepalの活動を調べており、様々な質問に対して代表ライが回答しました。
90分の講演を聴いた生徒さんの感想を一部ご紹介します。
今回のライさんのご講演で最も心に残ったことは、「これからライさんは夢の達成のために何をしますか?」という問いかけについて、「夢はあえて達成させない」と答えていらっしゃったことです。私は今まで夢は達成させるためにあると考えていて、達成しないといけないと勝手に思い込んでいたけど、今回のライさんのご講演で「あえて夢を達成させないことで、それっきりにしない」ということが学べました。今までの考えを覆すような衝撃を受け、新たな視点で物事を考えることができました。
私はライさんの講演を聞いて心に残ったことは、「国に恩返し」です。自分を支えてくれた国に恩返しすることは、とても素晴らしい考え方だなと思いました。そして国に恩返しをするとともに、苦しい生活を送らなければならない出稼ぎをする人を減らそうと、YouMe school を校舎から作ったと聞いて驚きました。最初は教師1 人、生徒 8 人と少ない人数で、周りの人から馬鹿にされて笑われたりしたのに、頑張ってなんとか周りの人に理解してもらって、今では多くの子供たちが通えるまでの学校にしていて、すごいなと思いました。私なら馬鹿にされたり、笑われたりしたら、心が折れて諦めていると思います。でも、人が笑うような夢じゃなければその夢は大きい夢じゃないというライさんの言葉から、笑われる大きな夢を持とうと思いました。 お忙しい中、貴重なお話ありがとうございました。
ライさんの講演を聞いて心に残ったのは、「子供たちを守ってあげるのではなく、子供たちの未来を明るくしたい、その未来を見たい」という言葉です。これまで、NPO法人などの活動は、子供たちに何かをしてあげるための活動をしていると思っていたので、すごく驚きました。でも、その後のその時何かしてあげるだけでは何も変わらない、という話を聞いて、「確かに」と思いました。子供たちの将来を考えるなら、将来に役立つようなことを教えてあげた方が良いという考えにとても共感しました。また、SDGsの視点では、全ての基礎に「教育」があるとおっしゃっていて、自分がこれから調べていくときに少し教育というところにも目を向けたいと思いました。もし自分が将来自分で何か行動を起こしたいと思ったときは、ライさんのように自分のやりたいことを信頼できる仲間と共に挑戦していきたいと思いました。
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今月のご報告は以上になります。
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